「誰がために医師はいる」を読む
昨日、紀伊國屋書店で手に入れました。
¥3,000近くもしました。
2日は少食でいけば持ち堪えられます。
良書というのは、やはり、それなりの代価を要求してきますから、目を瞑らなければなりません。
もう、半分近く読みましたが内容が…いや、文章が文学的で現代文学に匹敵するか、それ以上の本質や深淵を語っています。
ふわついた内容で良しとするのがあれば、深さでないと納得しないのもありますが、私はどうやら後者のようです。
ところで、ツイッタランドでS医師がいました。絵描きさんでもありましたが、ツイッタを去ってだいぶ経ちます。
内容がペシミスティックな文章を書いたりしましたが、どれも核心をついたものでした。
「虐待社会」
COVIDでうるさいですが、それ以前からハラスメントについて…あるいは体育会系しごきが暗に言われた悪文化とされています。
S医師はしごきがまかり通るのを虐待社会と言っていました。
しごきですから、老若男女で強いものが弱いものを言動で制します。
強く言えたり体現できたりするのが、吟味せず良いとされてしまいます。
神話が原型だと信望する心理士ですら「対決」がどこかで必要と言いますから、彼のいた当時は人権意識がそだっていなかったんじゃないか?と思うくらいです。
さて、何故S医師を出したか?と言いますのも、多かれ少なかれ、世の中は虐待社会であり、そこからドロップアウトした場合に、困った人ができ上がるということです。
早い話、上手くいくのは上手く行けるし、上手くいかないのは上手くいかない。
器用さや能力にも関わりますが、核心になるのはタフさ…丈夫さでしょう。
いかに厚かましく振る舞えるか、強く出せるか?などです。
スティグマというのは、過去のものといいますが、結局のところ(この国で)生きていれば、10代で受けることもあれば、30代で受けることもある。
昔話では、40代で暴虐に遭い、吐血して死んだというのもありますが、あながち嘘ではないと思います。
Dr.松本の本を読み私は人間が、もっとわからなくなりました。
上手くいくのはドラッグを使いながら上手くいっているし、上手くいかないのは何をしても上手くいく道を見つけないでいる。
ある意味、生命力のようなものでしょうか?
生命力は単にパワーや機敏さだけでなく、器用さや狡猾さも、口のうまさや、機転が利くなどもあるように思います。
筒井先生の七瀬シリーズでは、ドロドロした人間心理が描かれていますが、あの場合、アレが普通だと思えば聖痕にならない。
アレに疑問を抱くようなら苦悩になる。
苦悩せずに生きればいいというと「困った人」が出てきますから、難しいのです。
不登校研究の専門家に聞くと50年前と問題の本質はまったく変わっていないと言いますから、人が自由に・・・「らしく」生きて何が問題なの?という親御さんの意見は変わらないのでしょう。
たぶん、昔らしたら勘当や家出で済んだ話なのかもしれません。
だって、親子といえ同じ人格だと思う方が滑稽ですし、嫌なら出ていけ!は乱暴ですが、乱暴な中に残酷な知恵があったのではないか?
要は問題が出れば解決せずに放り出すみたいな。
私の予想というか妄想では、世代間の違い・・・いや、親子間の齟齬が出るというのはアーキタイプを感じさせますし、対話やダイアローグでも無理なら諦めるしかないと想います。
勘当や家出、逃げた方が困った人を出さないなら、その方がよろしい。